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子供の成長過程で、子供から思春期への脱皮の節目としてよく「9〜10歳の壁」
と言われる時期があります。 これは子供が親への依存傾向を減少させ、友達と遊
ぶことで「我慢してやり遂げる」「集団のルールを守る」「自分たちで工夫する」
「気を遣う」など、友達との心理的結合を持ちながら身につけていくと言われてい
ます。
そしてこの節目の時期、子供は本格的な書き言葉の世界に入ります。
過去の経験をイメージ化しそれを整理し、書き言葉で文書化して他者との交流が
可能になってくるのです。
言語学習の「10歳の壁」
言語学習には「10歳の壁」と言う、言語習熟の壁の考え方もあります。これは
10歳を過ぎてからの言語学習には、それ以前の年齢に比べてやや習熟度が弱まっ
て来ると言われているのです。 10歳までの子供(だいたい小学4−6年生くら
い)は英語圏の小学校に入ると、ほぼ平均的に1年も経つと現地の子供と問題なく
子供同士の会話で英語を聞き取り、普通にしゃべれるようになります。英語学習の
最大のポイントである聞き取り能力が具わってきたのです。
現地の小学校で習う程度の英単語は、聞き取るとすぐにそのスペリングを口で言
えるようになります。 英語の学習で大事な発音を正確に聞き取れる様になること
で、phonics といわれる、英語の綴り字と発音との関係も理解してきます。
そして英単語の綴り字が口から自然に出てくる様になります。
ところが平均的に10歳以上になってくると、多くの子供たちはこの英語聞き取
り開発能力がやや劣って来る傾向があるようです。理由の一つに、思春期への脱皮
の節目としてある「9〜10歳の壁」で、体験や経験をイメージ化して書き言葉で
文書化する能力が向上してくることがあるかもしれません。
この10歳までに憶えた言葉は生涯言語になるとも言われています。
参考までに南米の国々から日本に来ている多くの日系2世や3世の子供たちは、
ほとんどが日本の小学校で勉強をしています。この「10歳の壁」は、その子供た
ちの中にも顕著に現れています。10歳以下で日本に来た子供たちは日本人の子供
たちとまったく変わらない日本語を使い、むしろ母国語を忘れているようです。
ところが10歳を過ぎて日本に来た子供たちは、母国語を忘れることなく使いこ
なし、日本語の勉強には少々時間がかかっているようですが、いずれ完璧な日本語
をしゃべれるようになるのでしょう。
英語の学習に「10歳の壁」は確実に存在しています。まだまだ多くはありませ
んが、小学校の内に英語留学を1〜2年間した子供は、問題なく bite と bit、
hat と hut、lamp と ramp、lump と rump 等、ほとんどの日本人には聞き取るこ
とのできない違いを聞き分けるし、もちろん正確に発音するようになります。留学
を終えて日本に帰って来ても、その習得した英語能力は一生のものになって来ます。
The studying abroad adviser of Yuriko